保存製本


プロバイダーの調子がすこぶる悪く、更新がまたもや滞ってしまい申し訳ありません。

11月23日の懇話会が終わって、その週と12月の1週目は保存製本の研修でした。
保存製本というのは、いわゆるリンプベラム製本を応用したものです。
「リンプ装」などで検索をかけていただくと詳しい説明が出てくると思います。
1966年のフィレンツェの洪水のとき書物の復旧作業にあっていたクリストファー・クラークソン氏が16世紀から18世紀のパーチメントのカバーのリンプ装の書物が、革装本に比べ被害にあっても状態がよかったことに気づきます。
この製本は、接着剤を使わず、可逆的であり、開きもよく、開閉の際の負荷もかかりにくいことから、保存製本に応用されるようになりました。
というわけでこちらの修復指示書では「クラークソン製本で」という指示になっています。
フランス国立図書館の資料保存のサイトにもありますので、ご参照くださいませ。
http://www.bnf.fr/pages/infopro/conservation/cons_fiches_restaur.htm
「La reliure de conservation」というものです。

まずはサンプルを作ります。
お手本とレジュメを渡され、これまでに一度だけ作ったことのある人と一緒に、読みながら進めていきます。

こちらがお手本です。

紙を切って折るところから始めて、綴じて、花ぎれを編んで、表紙をつけます。
サイトですとPDF2枚ですが、いただいたレジュメは写真がたくさん入った29枚の超大作。
おかげで、写真を見て、説明を読んで、時にはお手本を分解して、なんとか出来上がりました。


サンプルの表紙と見返しはパーチメントではなく、パーチメント風の紙です。「ハハハ」に見えますね。

この方法は、主に表紙がなくなってしまったものに用いますので、実際に使うことはそんなに多くないようで、当初はサンプル作りだけで終わる予定でしたが、いつの間にか用意してくださっていました。

サンプルの後、すぐにこれですか?と驚愕したのですが、指導の方との共同作業ですので安心です。
本文ブロックはこの状態のままで大丈夫ですので、新しく支持体部分を延長し、表紙をつけます。

今回は、見返しも表紙もパーチメントですので、表紙に必要な寸法の計算も2人で何度も確認し、コードを通す穴は、まず紙で型紙を作ってそちらに穴をあけ、OKをいただいてからパーチメントに穴をあけました。

というわけで完成したのがこちらです。